UTILITY MODEL TECHNICAL OPINION

実用新案技術評価書とは
請求時期・費用・権利行使との関係

無審査で登録される実用新案について、新規性・進歩性などを特許庁が評価し、権利活用の判断材料を示す制度です。

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最初に結論

実用新案技術評価書は、特許庁が先行技術を調査し、請求項ごとに新規性・進歩性などについて評価を示す公的な資料です。登録時に自動発行されるものではなく、別途請求が必要です。また、権利の有効・無効を最終的に確定する判決や審決ではありません。差止めなどの権利行使を検討するときは、評価書の取得と専門的な検討が重要です。

実用新案技術評価書の役割

実用新案は新規性・進歩性の実体審査を経ずに登録されます。技術評価書は、その制度を補い、権利の有効性を検討するための客観的な材料を提供します。

先行技術を調査

特許・実用新案文献などを調べ、請求項の考案と比較します。

請求項ごとに評価

新規性・進歩性などの観点から、各請求項について評価を示します。

権利活用の判断材料

警告、交渉、ライセンス、事業判断などで検討材料として利用します。

評価書が必要になる背景:登録証があるだけでは、新規性・進歩性が認められたことにはなりません。評価書によって、登録時には判断されていない実体的な登録要件を確認します。

誰が・いつ・どの範囲で請求できるか

項目内容
請求できる人出願人・実用新案権者だけでなく、原則として第三者も請求できます。
請求時期出願後に請求できます。登録前・登録後のいずれでも、必要な時点で検討できます。
請求する範囲すべての請求項または必要な請求項を指定して請求します。
評価対象新規性、進歩性に関する事項など、実体的な登録要件について評価されます。
法的な性質公的な判断材料ですが、有効・無効を確定する行政処分や審決ではありません。
特許庁へ納付する請求料42,000円+請求項数×1,000円

請求項1の場合は43,000円です。代理人へ依頼する場合は、別途手数料が必要です。

費用は請求項数で変わります。どの請求項を評価対象にするかは、権利行使や交渉で重要となる範囲を踏まえて検討します。特許庁費用は改定されることがあるため、請求時に最新料金をご確認ください。

技術評価書が作成される流れ

1

目的を整理

警告、ライセンス、社内判断など、取得する目的を確認します。

2

評価請求

対象となる出願・登録番号と請求項を指定して特許庁へ請求します。

3

先行技術調査

特許庁が先行技術文献を調査し、請求項との関係を検討します。

4

評価書の受領・検討

評価と引用文献を確認し、活用方針や権利行使の可否を検討します。

評価結果を読むときの4つのポイント

1

どの請求項の評価か

請求項ごとに構成が異なります。独立請求項と従属請求項を分けて確認します。

2

どの要件に関する評価か

新規性、進歩性、先願との関係など、評価の根拠となる要件を確認します。

3

引用文献に何が書かれているか

文献番号だけでなく、請求項の各構成がどこに記載されているかを対比します。

4

相手製品との関係は別に判断する

評価が良好でも、相手製品が請求項の全構成を充足するかは別途検討が必要です。

記号や結論だけで判断しないでください。引用文献の内容、請求項の解釈、出願時の技術常識などによって実務上の評価は変わります。警告前には弁理士等へ相談することをおすすめします。

技術評価書の評価記号「1~6」の意味

技術評価書では、評価を請求した請求項ごとに「1」から「6」の記号が示されます。これは成績の順位ではなく、審査官がどの登録要件との関係で評価したかを表す区分です。

評価主な意味実務上の読み方
評価1新規性がない引用文献に、請求項に係る考案と同一と判断される技術が記載されている評価です。
評価2進歩性がない請求項に係る考案は、引用文献などに基づいて当業者がきわめて容易に考案できたと判断される評価です。
評価3拡大先願に該当する先に出願され、後に公開された特許・実用新案の当初書類に記載された考案または発明と同一と判断される評価です。
評価4先願に該当する同一の考案について先にされた特許出願または実用新案登録出願があり、先願との関係で登録要件を満たさないと判断される評価です。
評価5同日出願と同一である同一の考案について同日に別の特許出願または実用新案登録出願がされていると判断される評価です。
評価6新規性等を否定する先行技術文献等を発見できない調査した範囲では、評価対象の要件を否定する資料等が発見されなかったという評価です。
数字が大きいほど段階的に優れている、という採点ではありません。評価1~5は、それぞれ異なる理由による否定的な評価です。評価6は一般に肯定的な評価として扱われます。
評価6でも権利の有効性が保証されるわけではありません。技術評価の対象外となる無効理由が存在する可能性があるほか、明細書などの記載が不明瞭で有効な調査が困難な場合も評価6に含まれます。評価欄だけでなく、「評価についての説明」と引用文献を必ず確認してください。

権利行使との関係

実用新案権に基づいて差止めなどを行う場合、技術評価書は単なる参考資料ではなく、法律上重要な手続に関係します。

評価書を提示して警告する

実用新案権者は、原則として、登録実用新案に係る技術評価書を提示して警告した後でなければ権利を行使できません。

権利範囲と有効性を確認する

評価書だけでなく、相手製品が請求項の構成を満たすか、訂正や無効理由の可能性がないかを検討します。

拙速な警告を避ける

登録証だけを根拠に警告すると、権利が無効となった場合の責任や取引関係への影響が問題になります。

交渉目的を明確にする

差止め、ライセンス、設計変更、共同事業など、事業上の着地点を決めて対応方針を立てます。

損害賠償責任の可能性:十分な注意を払わずに警告または権利行使をし、その後に実用新案権が無効となった場合、相手方に与えた損害の賠償責任が問題になることがあります。

厳しい評価を受けた場合の対応

  1. 引用文献を精査する:本当に請求項のすべての構成が記載・示唆されているかを確認します。
  2. 請求項ごとに整理する:一部の請求項に問題があっても、別の請求項は活用できる可能性があります。
  3. 訂正の可否を検討する:実用新案の訂正には時期・回数・内容などの制限があるため、慎重に判断します。
  4. 権利行使をいったん見送る:有効性に大きな懸念がある状態での警告は避けます。
  5. 別の知財・事業対応を検討する:意匠、商標、不正競争防止、契約、設計変更、次期製品の出願などを組み合わせます。

監修・解説:弁理士 林 崇朗

弁理士登録2003年。知財実務25年以上。技術評価書の結論だけでなく、引用文献と請求項の対応、相手製品との対比、事業上の目的を整理し、実用新案権の活用方針を検討します。

実用新案技術評価書に関するよくある質問

技術評価書は登録時に自動的に届きますか?

届きません。登録手続とは別に、特許庁へ実用新案技術評価を請求する必要があります。

登録前でも請求できますか?

出願後であれば、登録前でも請求できます。取得目的や利用時期から請求のタイミングを検討します。

権利者以外も請求できますか?

原則として第三者も請求できます。競合他社の登録実用新案について、権利の有効性を検討する目的などでも利用されます。

良い評価なら必ず権利行使できますか?

必ずではありません。相手製品が請求項の技術的範囲に入るか、評価書で考慮されていない資料がないかなども確認します。

厳しい評価なら実用新案権は自動的に消滅しますか?

自動的には消滅しません。評価書は無効を確定する審決ではありません。ただし、権利行使やライセンスでは重大な判断材料となります。

技術評価書の請求費用はいくらですか?

特許庁費用は42,000円に請求項数×1,000円を加えた額です。代理人へ依頼する場合は別途手数料がかかります。最新料金は請求前にご確認ください。

参考となる公的情報

本記事は一般的な情報の提供を目的としています。評価書の解釈、権利の有効性、侵害の成否は、個別案件の請求項、先行技術、相手製品などによって異なります。

技術評価書の取得・読み方・活用方針をご相談ください

請求する目的と対象請求項を整理し、評価結果と引用文献を踏まえて、警告・交渉・ライセンスなどの対応を検討します。

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