「実用新案」って言葉は聞いたことはあるけど・・・?

そんな君のために、実用新案について超簡単に解説してみよう!

はじめに

「実用新案」という言葉を耳にしたことはあるけれど、その詳細についてはよくわからない、そんな方へ。日本における実用新案制度の概要を、わかりやすくご説明します。

実用新案制度の目的

実用新案制度は、物品の形状・構造・組合せに関する新しい「考案」を守る国の制度です。この制度は、考案の保護を通じて技術革新を促し、産業発展に貢献することを目的としています。つまり、実用新案制度は、イノベーターだけでなく、社会全体にメリットをもたらす設計になっています。

実用新案はアイデアを考えた人だけのための制度ではないってことですね。

そのとおり。実用新案制度は、みんながWin-Winになるように設計されています。

実用新案登録とは?

実用新案登録とは、物品の形状・構造・組合せに関する新しいアイデア(考案)に対して、独占的な使用権(実用新案権)が与えられることを意味します。この実用新案権の保護対象となっているアイデアを「登録実用新案」といいます。

製品パッケージやウェブサイトに「実用新案登録済み」と記載することで、その技術力をアピールし競争力の向上を図ることも可能です。

確かに「実用新案登録済み」って記載されていると目を引きますね!

実用新案権の保護対象

実用新案権の保護対象である物品の形状・構造・組合せの具体例を紹介します。

物品の形状

物品の形状とは、線や面などを使って表される物の外形のことをいいます。

<物品の形状に関する考案の具体例>

  • 先端面に針状体が段差状に設けられたドリル
  • 握り寿司のシャリの形のくぼみを斜め方向に並べて設けた食品用トレイ
  • 線状の図形で表される駐車場の駐車枠

物品の構造

物品の構造とは、平面的または立体的に組み立てられた物の外観や内部の構成のことをいいます。

<物品の構造に関する考案の具体例>

  • 庫内や外装面に二酸化炭素吸着材を設けた自動販売機
  • 先端が尖った爪楊枝を形成する切り込みが施された割り箸
  • ふくらはぎ下方領域の着圧に比べて足首領域の着圧が低いソックス
  • 刃先部の周囲にコーティング層が形成されているドライバービット
  • 繊維基材層に持続冷感層が直接付着されている織物

物品の組合せ

物品の組合せとは、一定の形状または構造を有する2個以上の物が、使用時や不使用時に空間的に離れた状態にあり、使用する際に機能的に互いに関連して使用価値を生むもののことをいいます。

<物品の組合せに関する考案の具体例>

  • 頂角90°の二等辺三角形の定規と、頂角90°、60°、30°の三角定規と、を組み合わせた三角定規セット
  • 長手方向の重心に溝部を有する箸と、その溝部に嵌り合う箸置きと、からなる箸置きセット
  • 右コントローラおよび左コントローラをそれぞれスライドさせて着脱可能なゲームコントローラセット
  • 商品のカタログ冊子と、サービスのカタログ冊子と、を組み合わせた贈答用カタログセット
  • かんなクズ、平板状の薪、角柱状の薪を含む各種薪を備える薪セット

実用新案登録出願とは?

実用新案登録を受けるためには、保護を求めるアイデアの内容を詳細に記した出願書類を特許庁に提出する必要があります。この手続きを「実用新案登録出願」と呼びます。出願後、特許庁では、提出書類の書式や手続きに不備がないか、考案が保護対象かどうか、について審査が行われます。審査を通過すれば、実用新案登録となります。

出願
出願書類の提出に合わせて、出願料(14,000円)と登録料3年分(6,600円~)をまとめて特許庁に納付します。
審査
出願の書式や手続きのチェックと、アイデアが実用新案権の保護対象かどうかのチェックが特許庁によって行われます。
登録
審査を通過すれば、2~3カ月程度で登録が完了します。

実用新案って意外と早く登録されるんですね!

実用新案の出願から登録までのプロセスは、特許に比べるとハードルも低めです。

実用新案権の存続期間

実用新案権の存続期間は、出願日から起算して10年間です。この期間をフルに活用することで、考案者や企業は安心して市場展開を行うことができます。

なお、実用新案権の3年分の登録料については、出願時にすでに納付されています。4年目以降の毎年分の登録料については、その前年以前に納付する必要があります。この4年目以降の登録料は、毎年分を納付する必要があることから「維持年金」「年金」とも呼ばれます。

「年金」って、お金をもらえるんですか?

いやいや。「年金」とは言っても老齢年金と違って、実用新案の年金は特許庁に毎年分の登録料を支払うものです。

実用新案技術評価書とは?

実用新案技術評価書とは、特許庁の審査官が行う先行技術文献の調査に基づいて、実用新案権の有効性について評価した書類のことです。権利侵害の予防や停止を相手側に要求する際に、この評価書の提示が求められます。実用新案技術評価書は、出願後であればいつでも特許庁に請求できます。

ちょっと難しくなってきたぞ!

積極的な権利行使を考えておらず、実用新案権をマーケティングに活用できれば十分であれば、実用新案技術評価書という言葉だけでも覚えておいてください。

まとめ

実用新案制度は、物品の新しい形状・構造・組合せに関する考案を保護し、技術革新と経済成長を推進するための重要なメカニズムです。考案者や企業がこの制度を賢く利用することで、独創的なアイデアを市場で有効に活用し、競争優位性を確保することができます。